FC2ブログ

【マイクロソフト 特許6万件を開放!】

 特許業務法人 IPX 代表弁理士CEOの押谷 昌宗(オシタニ マサムネ)です。

 当所IPXは、ICT・ソフトウェア分野と、外国出願に強い特許事務所です。また、出願未経験のベンチャー企業の皆様にも親しみやすいように、最新のITツール(slack, messenger, zoom, 各種クラウド等)を駆使した顧問契約等も提供しております。設立当所からの事務所ポリシーは、このブログのタイトルにも使われている「爆速」! 3つのメソッドをベースとして、「品質」と「スピード」を徹底的に両立いたします。

知財戦略において、ビッグなニュースが飛び込んできました(1週間前ですが)。


1.マイクロソフトが特許を開放

”マイクロソフト、オープンソース特許ネットワーク(OIN)に加盟、特許6万件を開放”

>一部抜粋
「本日(米国時間10/10)Microsoftは、オープンソース特許団体のOpen Invention Network(OIN)に参加したことを発表した。同グループはLinuxを始めとするオープンソースソフトウェアを特許関連訴訟から守ることを目的としている。グループ参加の一環として、ソフトウェアの巨人は特許6万件を含むライブラリーをグループメンバーに開放する。この巨大特許データベースへのアクセスは無制限でロイヤリティフリー。」

これは、2014年にテスラが、2015年にトヨタが発表した戦略と似ています。


2.企業毎の特許開放の違い

(1)開放特許の数
 1. テスラ:約200件
 2. トヨタ:約6,000件
 3. マイクロソフト:約60,000件(!)

(2)開放期間
 1. テスラ:無期限
 2. トヨタ:2020年まで
 3. マイクロソフト:無期限

(3)開放(使用)条件
 1. テスラ:特許権を行使しないことを宣言
 2. トヨタ:トヨタに申し込み、実施条件を協議の上、契約書を締結→無償の「条件付」実施権を許諾
 3. マイクロソフト:無制限でロイヤリティフリー


3.企業毎のアプローチ

こうしてみると、テスラとマイクロソフトの方向性は一致しており、トヨタが異なるアプローチをとっていることがわかります。

【企業毎の目的(予想)】

◆ テスラ:無期限&権利不行使の宣言→新規市場の拡大を加速
◆ トヨタ:期限付&契約締結→新規市場へのプレイヤー参入促進&将来的な支配権を得る
◆ マイクロソフト:Linuxを始めとするオープンソースソフトウェアを特許関連訴訟から守ること

そもそも、特許の開放については、インテルの「オープン・クローズ戦略」が最も有名です。
インテルでは、マザーボードのインターフェース関連の特許を開放し、サードパーティーをがっつり引きつけました。
これは、PC市場はすでに存在しており、その中で自社の支配力を高めるためです。

一方、テスラは「オープン&オープン」で、新規市場そのものを急拡大することを目的としております。
トヨタについては、新規市場を拡大することに加え、将来的には支配的地位を確立したいことが見え見えで、他社の市場参入促進への影響は限定的かと思います。

今回のマイクロソフトの戦略は、これらとは異なるアプローチであるといえます。
開放条件などはテスラと近いですが、開放特許の数が桁違いです。
約60,000件の特許となると、3~600億円ほどの取得費用がかかっていると予想され、スケールが桁違いですね。

しかも、おもしろいのは、市場拡大ではなく、第三者への特許訴訟の防衛を目的としている点です。
これは、マイクロソフトが加入したコミュニティの構成員に対して、例えばNPE(不実施主体:自ら特許に関する製品・サービスを実施せず、特許件を行使して和解金・ライセンス料などを得る団体)が訴えてくるリスクを低減することを意図しているものと思われます。

・デメリット(効果が限定的な点):NPEは自ら実施していないので、膨大な特許ポートフォリオを用いたカウンターが難しい。
・メリット:NPEが特許を取得する前にマイクロソフトが取得した膨大な特許を開放することで、怖い特許をNPEが取得することを防止できる。

このように考えると、訴訟リスクの低減という目的を達成するためのアプローチの一つとしては非常に有効ではあるものの、根本的な解決についてはさらなるソリューションが求められると感じます。
スポンサーサイト






姉妹ブログ:
爆速知財サービスのIPX ~COO/CTOのブログ~(当所COO/CTO 奥村)もよろしくお願いします。
よろしければクリックお願いします。にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ

コメント

非公開コメント

プロフィール

MASAMUNE OSHITANI

Author:MASAMUNE OSHITANI
管理画面

 特許業務法人 IPXの代表弁理士CEOの押谷 昌宗(オシタニ マサムネ)です。

【略歴】
 生粋の知財キャリア出身です。大学院修士課程在学中に弁理士試験に合格。大手外資系メーカー知財部に新卒で入社。企業での経験を積んだ後、外国に強みのあるブティック事務所へ転職(アソシエイト弁理士)し、事務所弁理士としての修行に専念。
 2018年4月に共同代表の奥村(元研究職出身の弁理士)とともに特許業務法人 IPXを設立し、代表弁理士CEOに就任。

にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ 

【姉妹ブログ】
 爆速!知財のIPX 〜COO/CTOのブログ〜
 ↑共同経営者(COO/CTO)の奥村のブログです。


検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR